いつだったか、たぶん1年近く前にふと手にして購入した三津田信三著「凶鳥の如き忌むもの」をようやく読了。
怪異譚蒐集が趣味の小説家・刀城言耶は、瀬戸内にある鳥杯島で18年ぶりに行われる秘儀「鳥人の儀」を取材に訪れていた。この儀式は島の断崖絶壁の上にある拝殿で執り行われるのだが、18年前には巫女を含む7人が行方不明となっていた。
それは鳥女と呼ばれる化け物の仕業と伝えられているのだが・・・。
じつは読み始めてからは1週間も経ってないんですがね。いつもながら読み始めるまでに時間がかかる性分なもんで、東京に出かけるときに思い出したように持ち出して、そのまま少しずつ読むようになりました。
あとはすんなり最後まで読んでしまいましたね。
さて、読み終えて、つまり謎がすべて解けての感想は・・・一言で言うと「後味悪い」です。まぁ巫女が行う秘祭・奇祭だとすればありがちな設定のような気もしますが、その光景を想像してみるとさすがに少々気分が悪くなってしまいました。
ゲーム「零シリーズ」好きのくせに、なんとも軟弱なヤツですな。
それにしても、実際に事件が起きるまでが長すぎですな。全体の半分過ぎるまでは民俗考察と18年前の事件の記録解説ですからね。
物語の背景を知る上で重要なのは理解できますし、それはそれで興味深く読んでいたんですが、ふと、事件はいつ起きるの?って感じになっちゃいます。
でも、中盤に差し掛かって鳥人の儀が行われてからの展開はなかなかスリリングで、事件解決、いや解明のプロセスも面白かったです。主人公が洞窟を見つけて探索するシーンはドキドキしたなぁ。
それに、作中で構築しかけた推理を自ら否定するって展開は新鮮でしたね。
オイラはミステリーを推理せずにさらっと読むタイプ(推理が成立しないうちにクライマックスを迎えてしまう)なので、鳥人の儀の秘密については素直に楽しめたと思います。まったく発想できませんでしたから。