鳥取のようなイベントでもないのに同日に同一地域で3公演を観ることができるなんて、まさに演劇祭ですな。しかもそれぞれが2時間近くある公演ですから、よそでは滅多に体験できない貴重な一日ですよ。
オイラが鳥取から帰宅したのが午前9時で、一つめの開演が午前11時・・・想像どおりの過酷なスケジュールになりました。なんたって広島・鳥取往復込みの2日間で計7公演ですからね。
まずは南区民文化センターにて、B-LUCKS♪による「スペーストラベラーズ@広島」。
数年前に同じタイトルで映画化されたマギー原作の戯曲「ジョビジョバ大ピンチ」。「@広島」とあるからには広島ならではの「何か」があるのかと期待してましたが、とくに何もなかったような。
この夏に東京でも上演されたから、混同を避けるためなのかな。
この作品はコメディなので大切なのはテンポとスピード感だと思うのですが、どちらも物足りない印象でした。役者の演技も含めて全体的にちょっと違和感があって、なかなか入り込めなかったのが残念。
おそらくミスであろう映像なし音声のみのシーンもあって消化不良でした。最後のダンスは良かったけど、もっとお芝居に力を入れて欲しいかな。

それからアステールプラザにて、ドラゴンクラブによる「畢生 All one's life」。

広島県外を含むいろんな劇団の辰年生まれの演劇人が集まってのプロデュース公演。実力のある役者が多く出演していることから楽しみにしていましたが、出演者が多すぎて発散してしまったような印象。
独特な世界観で魅せる戯曲と、スタイリッシュに見せる演出は見応えがありました。
三方向に配置された客席は良し悪しですね。もちろん額縁じゃなく自由なアングルで創造できるのが小劇場演劇の魅力ですが、平行するシーンがノイズになって集中力が削がれてしまったり、不必要に見えにくいシーンがあったりしますから。
タイトルの畢生とは「一生涯」って意味で、作品のテーマは生と死。でも、生の感動も死の悲しみを中心に描いたわけではないようで、むしろ淡々と流れていく感じでした。
いろんな展開が期待できる集団なので、次回公演を期待しちゃいます。

最後は東区民文化センターにて、第七劇場による「班女/邯鄲」。

三島由紀夫の近代能楽集に収められ、能の演目として有名な両作品の2本立て。まず邯鄲が上演され、数分の転換の後に班女が上演されました。
両作品とも「待つ」がモチーフになっており、またキーワードとして邯鄲には「枕」、班女には「扇」が登場するんですが、扇はついに広げられることがありませんでした。
演出家こだわりのリピートという手法は今回の邯鄲にも取り入れられていて、「あ、見たことある」と思った方は前回の「かもめ」を観劇した方でしょう。それにしても、何度も繰り返される女性がイスから転げ落ちるシーン、ほとんど位置がブレないのに驚きました。
班女は狂女ものの雰囲気がよく出ていて、せっかくかく待ち焦がれていた男性と再会したのに、顔を一瞥して「あなたじゃない」と言い放つなんて、意地の悪い展開が面白いです。さらに待ち続ける狂女の生涯は・・・きっと幸せなのでしょうね。

さて、今回の3公演はコラボ企画があって、チケットの半券を持って行くとちょっぴりお得になるというサービスがありました。しかし1本目は半券持ってないから割引きないし、2公演目は当日が前売料金になる割引きだったのでもともと前売料金だったら関係ないし・・・で、オイラは最後の公演でようやくメリットを享受できました。
すべてを観劇後、晩ご飯を食べて帰宅して早速レビューを・・・とパソコンの電源を入れたところで力尽きたようです。気がついたら朝でやんの。
