野田首相が環太平洋戦略的経済連携協定・TPP(Trans-Pacific Partnership)の交渉参加を表明しました。国会で何も言わずに記者会見での表明という姑息な手段は、彼の政治姿勢そのものがが垣間見えるようですな。
さて、野田首相は会見で「大きなメリット」と言ってましたが、どんなメリットがあるのかは具体的に示されず、結局判らず仕舞い。逆に「数多くの懸念」はそこそこ報道されているので、一般にもほぼ浸透してきていますね。
とくに大きな問題はISDS条項とラチェット規定でしょうか。
ISD条項とは投資家と国家の紛争解決のための規定で、何か問題が生じたらどちらの国の裁判所でもなく、第三者にその解決を委ねること。ただし、この解決方法は海外の投資家の利益を守ることであり、非公開で判決後の上訴もできず、しかも政策の合理性などは考慮されないんだとか。
例えば日本が自国民の健康を守るために規制をかけた場合、それによってアメリカ企業が訴えれば日本は莫大な損害賠償をしなければならなくなるってことですね。すでにカナダやメキシコなどで実際に起きているそうです。
そしてラチェット規定。ラチェットレンチのように一方向しか回せないってことで、つまり一度ある分野で規制緩和したら、もう元には戻せないって規定。やってみてダメだったら元に戻せば良い・・・ってことが許されなくなるわけです。
TPPは単純に関税自主権の放棄に止まらず、下手すれば国家主権の放棄(治外法権)に繋がりかねない代物なんですね。だから慎重な判断が求められるわけですが、どうやら政府の中枢にいる人たちはコトの重大性を認識していないようで・・・。
リンク先の参議院質疑を見たら一目瞭然ですが、暗澹たる気持ちになりますよ。ISD条項のことを何も知らずにTPP参加とか言っちゃう野田首相に1ミクロンの信頼もできません。
2011年11月11日
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