原爆投下から数年後の広島。美津江は父・竹造と二人暮らし・・・といっても竹造はあの原爆で死亡しているのだが、美津江は何事もなかったように父と接していた。
図書館に勤める美津江は、原爆資料を集める青年と出会い、そして惹かれ合っていく。しかし、あの原爆から生き残ったことを後ろめたく思っている美津江は、自分の幸せのために一歩を踏み出すことができない。
そんな娘を応援するため、竹造は何度も美津江に助言を与えるのだが・・・。
井上ひさし作の原爆をテーマにした二人芝居。ほのぼのとした父娘の暮らしぶりを描きながら、美津江が青年に惹かれ、自縛に苦しみつつも少しずつ二人の関係が進展していく様子がとても面白かったです。
そして、原爆で壊滅する広島で繰り広げられた、父と娘の離別シーン。瓦礫の下敷きになって逃げられない父親と、父親を置いていくことができずに逃げない娘・・・父親がなんとか娘を逃がそうと、ジャンケンで勝ったら逃げろと言いながら握りこぶしを出すシーンは思わず目頭が熱くなりました。
父娘のやり取りがとても切なく、そして鬼気迫るものだったのが印象的で、周りからもすすり泣く声が聞こえてましたね。ラストの、美津江が竹造の言葉を受け容れるシーンにも胸を打たれました。
小道具のお地蔵さんの首が判りにくかったことと、暗転が長めで物語から現実に引き戻されてしまうのがちょっと気になりましたが、見応えのあるお芝居だったと思います。


