アステールプラザで開催されている演劇学校の特別講座に参加してきました。
7月にアステールにて上演される「僕たちの好きだった革命」の脚本・演出を手がけた劇作家、鴻上尚史氏によるレクチャートーク。「鴻上尚史が語る“演劇”の魅力」と題した約90分の講演は、和やかでパワフルな語り口と興味深い内容で、あっという間に終わってしまいました。
まずは「僕たちの好きだった革命」が生まれた経緯に触れ、映画化されるまでの紆余曲折ぶりを披露しつつのPR。そこから『表現力』をテーマに「ことばの教養」について語り始めます。
NTT西日本のサイトにも掲載されている3つの輪という話。これはスタニフスキーという世界的に有名な俳優が提唱したことで、輪とはスポットライトをイメージするそうな。
まず、人が誰かに語りかける状況を「第1の輪(じぶんに語りかける)」、「第2の輪(あなたに語りかける)」、「第3の輪(みんなに語りかける)」の3つに分類してみます。
そして、それぞれの状況に対応した言葉を選ぶことが必要なんだけど、コンビニ店員などの「いらっしゃいませ」はすでに独り言と化している、と。また、このように状況と言葉がちぐはぐだと人は違和感を覚えるんだけど、話の上手な人はそれをわざとずらして喋ることもある・・・そんな内容でした。
さらに、社会と世間の違いについて触れ、日本人の表現下手、というか自己主張に消極的であることについて背景と具体例を説明されました。日本人が執着する世間(村落コミュニティ)はすでに壊れかけていて、セーフティネットの機能を果たしていない・・・というお話は興味深かったです。
欧米人と比較してコミュニケーション能力が劣ることについては、やはり幼い頃からの教育が影響しているみたいですね。もちろん、あちらの教育がすべて良いってわけではないけれど、自分の考えを相手に伝える能力と高めるためには見倣っても良いんじゃないかな、と感じました。
そんなわけで、演劇好きの素人が知識の下地づくりをしようとしている時にタイミング良く遭遇した今回の企画。さすがにワークショップとなると敷居が高いので無理ですが、講演なら・・・と思って参加したわけですが、こんなにタメになって楽しい時間になるとは思ってなかったです。
自分自身、自己表現は大の苦手なもので、いろいろヒントをもらったような気がしました。
さて、充実の講演が終わり、アステールを出てみると外は雨。カープは1点を追う6回に集中打で逆転し、7回で雨によるコールドゲームが成立したそうな。
そういえば、今日から「とうかさん」だっけ。お祭りに繰り出した人にとっては迷惑だけど、カープにとっては恵みの雨・・・だったかな?
2009年06月05日
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鴻上尚史が語る“演劇”の魅力(アステールプラザの演劇学校特別講座)
Excerpt: 7月1日にアステールプラザ(大ホール)で上演される『僕たちの好きだった革命』に向けて主催の広島市文化財団が演出の鴻上尚史を招いた。 第三舞台はとうとう観られなかった私だが、数年前に熊本の劇作家大会で鴻..
Weblog: パペット劇場ふらり旅 〜広島〜
Tracked: 2009-06-08 19:58
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鴻上尚史が語る“演劇”の魅力(アステールプラザの演劇学校特別講座)
Excerpt: 7月1日にアステールプラザ(大ホール)で上演される『僕たちの好きだった革命』に向けて主催の広島市文化財団が演出の鴻上尚史を招いた。 第三舞台はとうとう観られなかった私だが、数年前に熊本の劇作家大会で鴻..
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Tracked: 2009-06-08 19:58
同じレクチャートークを聞いても、人によっていろいろ聞きどころが違うんですよね。
それがとても興味深くてあちこちブログを検索してたどり着きました。
見つけたときに飛び上がって喜んじゃいました。
まさに望みどおりのサイトです。
広島のアマチュア演劇を観に行ってもそれをブログに書く人は少なくて、ちょっと寂しいです。
これからも時々覗きに参りますね。
よろしくね。
じつは、おけいさんのブログ、時折拝見しているブログでした。今回のレクチャートークのエントリーも、興味深く読ませていただきましたよ。
たしかに広島のアマチュア演劇の観劇ブログって、客席の盛況ぶりに比べると少ないですよね。
管理人は演劇については素人ですが、これからも的はずれを恐れずにレビューを書いてみたいと思っています。
こちらこそよろしくお願いします。