アステールプラザにて、
ヨーロッパ企画の第28回公演「
曲がれ!スプーン」を観劇。
クリスマス・イブの夜、「カフェ・ド・念力」という名の小さな喫茶店に集まる男たちがいた。
彼らは5人はそれぞれがサイコキネシス、透視能力、テレポーテーション、エレキネシス(電子機器操作)、テレパシーの能力を持つエスパーである。彼らはこの日、この喫茶店に集まってエスパーだけのクリスマス・パーティーを楽しむことになっていた。
能力披露を兼ねた自己紹介が続く中、マスターが買い出しに出かける。それと入れ違いに一人の男が店内に入ってきた。エスパー仲間だと思った彼らは温かく迎え入れるのだが・・・。
この作品はもともと「冬のユリゲラー」というタイトルで、2000年の初演以来何度も再演されているヨーロッパ企画の代表作の一つです。2009年には本広克行監督の手により、長澤まさみ主演で映画化もされました。
ただし、映画版では超能力バラエティ番組「あすなろサイキック」のADである桜井米が主人公でしたが、舞台版ではあくまでもエスパーたちが主役。タイトルも変わってセリフも全面リニューアルでの再演だそうで、とっても楽しみにしていました。
開演直後のカフェ・ド・念力にはスプーン曲げに挑戦する兄妹とマスター、そしてカレーを頬張る常連客の河岡。兄妹の会話と河岡のスプーンの音のリフレインにニヤニヤしつつ、ゆっくりと物語の世界へ引き込まれていきます。
この兄妹は新キャラクターなのかな。最初の暗転以後のストーリーには絡んでこないのですが、ラストシーンで再登場してオチをつける重要な役回り。
いったい彼らに何があったのか・・・それは恐らくDVDの特典映像で語られるのでしょう。
さて、ストーリー本編はというと、基本的には自己紹介。4人が集まり自己紹介、1人加わって再び自己紹介、また1人現れてもう一度・・・って感じで、前半は自己紹介ばかり。
ホントにもうただそれだけなのに、とっても楽しかったなぁ。会話劇としての面白さに加え、舞台らしい超能力の表現方法が良かったと思います。
そして中盤に登場した細男とのやり取り、そして桜井の登場で急展開するドタバタも秀逸ですね。毒グモ退治の手段を悩み、エスパーの能力を駆使して失敗する一連の流れなんか、気がつけばもう涙を流しながら大笑いしてました。
エスパーたちが桜井に特ダネをプレゼントするシーンは、映画版の方はジーンとくる設定だったのに対し、舞台版はあくまでもドタバタ。そして、クライマックスを迎えたと思ったら、例の兄妹による意外なオチが・・・って感じ。
ただ、ここは映画版の展開が気に入ってただけに、少々物足りなく感じてしまったなぁ。
それでも、アステールプラザの大ホールを埋めたお客さんには大満足のお芝居だったと思います。たしか、今回のツアー公演で1000人以上収容の会場はここだけなんじゃなかったかな。
カーテンコールがダブルになって、舞台上には役者陣と作・演出の上田氏が登場。しかし、想定してなかったのか全然準備してた感じがなかったですね。
次週の阿佐ヶ谷スパイダースの公演を告知しちゃうくらいだもん。
また8月に公演が決まっているそうな。楽しみ楽しみ!